鉦叩き大きな闇を響かせて
虫の音や扉ひとつに鍵ふたつ
夏の野へ駆け出す少女今無敵
それぞれに気の向くままに吾亦紅
何時までも家に入らぬ子吾亦紅
父母の墓に経唱ふ法師蝉

虫の音の届くところに灯のひとつ

鉦叩き大きな闇を響かせて

打ち水や風の匂ひのふと変はる

ふと変わる風の匂ひや門火焚く

汗しとどこっぷの水の美味し午後

閂を押し分けてくる虫時雨

送り火の消へて暫しは門に佇つ

閂を開けて早めの門火かな

明るさの残る庭にて門火焚く