花火終へ俄かに風と潮の香と
墓参り母の先行く赤い靴
鉄橋の一両列車遠花火
満天に万の華咲く大花火 
僅かなる風の重さや牽牛花
桐一葉風に軽さのありにけり
桐一葉どこからか来て風かるく  日にかるく
秋近し揺れる木陰を歩き行く
行く路地へ滝なすほどの蝉しぐれ
竹の百幹雨に艶めける
百幹の葉擦れ騒がし竹の春

干し梅の匂ひする路地長屋門

梅干す香向ふ三軒両隣

母の香と古里の香の梅を干す

干し梅の香り満ちけり路地の裏

夏灯アンソロジーの十六号