蛇の衣終着駅の堅き椅子      ・
切りすぎた前髪もろとも夏の海    ・   ・
焼きリンゴ大好きてふ子夏祭   ・
冷奴少し早めの夕餉かな     ・
墓参り庭の桔梗束ねつつ     ・
ぱりぱりと三つに畳む日傘かな  ・
  ・
やや傘を傾げて避ける毛虫かな
万緑や吃水深くゆく巨船
月見草吃水深くある漁船 
夕顔や船足おそく来る漁船  
月見草吃水浅き漁船かな
岬より出づる巨船や月見草
炎天下息つく路地の石畳     ・
赤い靴母にかくれて墓参り    ・
炎天下電信柱に身を細め
電柱に身を細めつつ炎天下   ・ 
切通抜けて一気に夏の海     ・
朝顔のいちりん風の重さかな

桐一葉ベンチの人の赤き爪

緑陰や組みたる足の赤き爪
夏陽ざし海の底まで突き抜けて   ・

雲の峰小箱のやうな無人駅

雲の峰短き駅の一輌車
電柱の影より出づる日傘かな
一歩づつ暑さの中に身を浸す    ・
この碑より旧街道やカンナ咲く
うだるほど暑さの中に身を浸す
スキップをしているつもり夏帽子
あさがおやスキップしてるつもりの子
下駄鼻緒赤い爪して浴衣の子

切通し抜けて平らな夏の海      
炎天下電信柱に身を細め           

稜線をくつきり抱き雲の峰
二人居や西瓜一つを持て余す

二人居に右往左往や大西瓜

桐一葉何処から来るのかぜ軽く      ・・ 
我影は足の大きさ炎天下
ポストまで借りる息子の夏帽子
松原を涼しき風の走る浜
白靴や赤きネイルを秘めてをり
一撃の太刀に長刀鉾動く
図書館を出て片陰を片陰を
日傘てふ影の一つを持ち歩く    。・
前髪を少し切りすぎ夏終わる    ・
図書館を飛び出す影や夏帽子    ・
いつの間に区切りの見えぬ青田かな
片陰に影を重ねて入りにけり   ・
朝顔に風の重さのありにけり  ・
夏帽子小脇にはさみ美術館