2019年03月

広告の春色あふるる電車かな
一声で生るる楽園囀れる
春泥の深き轍を里の道
ふらここを飛びおりてくる赤い靴
織物や緑雨の中に廃業す
機織りの友は緑雨の中終う
青空の奥へ奥へと初雲雀
知らぬ子と尻向け競ふ潮干狩
卒業や転校多き孫息子
カットバンおでこに貼って入学す
石鹸をくっつけ使う春の月

初花や下宿の二階より長女
石ころと一年生と鮠の群
啓蟄や畑に喜ぶ父と鍬
啓蟄や父も喜ぶ今朝の鍬
深々とおじきしてる子豆の花
豆の花子らのあやとり続きをり
右岸みて左岸も愛でる河津桜
右岸見て左岸も探す初桜
初花や補強鉄骨ある校舎
蛇の目傘そとひとふりに春袷
見えぬ風みせて黄昏春袷
後ろ手に母の着てゐる春袷
父よりも大き母の手くさの餠
春光や切られしまゝの竹二本
一枚の田んぼの隅の初桜
ふらここや若草色の岸煙る
気を抜きし山より山の笑ひだす
春袷傘のしずくをはらひけり

子らの声遠くになりてつくし伸ぶ
つくしんぼしんがりの子はおくれがち
しんがりの子はおくれがちつくしんぼ
青空に似合ふ白雲まめの花

チャイム鳴り春の校庭賑やかす
梅が香や机の隅の腕時計
残り鴨古き地名の小学校
園児らの声運び来る春の風
子らの声遠くになりて土筆伸ぶ
古里の便りを運び蝶来たる

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