2017年12月

午後よりは雲の増へ行く冬田かな
 
凩や日陰に力増しにけり
 
いつの間に向きを変えたる浮き寝鳥 
 
眼も耳も喉もかすれし凍てる月
 
庭先の冬まあるく猫ねまる
 
通り過ぐ電車の向うふにある寒さ
 
枯芝や連山遥か澄み渡り
 
青空をくまなく使ひ大根干す
 
雨風の少しの晴れ間冬鳥来
 
寒月や共働きの回覧版
 
底冷へや無色の街を照らす月
 
凩や行く手を阻む路地迷路
 
堰落つろ水の色さへ十二月
 
荒星や階段一歩一歩づつ
 
つま先もつつつつつつつ急く師走
 
白息や朝の光と朝の風
 
雪風撒く無色の街の街路灯
 
寒波来る鳥の声さへ失せる朝
 
柊の小花彩る日差しかな
 
他人事で他人事でなく年暮るる
 
じじばばもちよつと縮んで年暮るる
 
この一年この一枚の古暦

枯田なか半時おきに来る電車
 
誰にでも手を振るこども冬菫
 
山眠る獣ばかりの足の跡
 
終便の灯りを残し冬の駅
 
冬日差し窓辺の鉢を傾けり


 枯野ゆく半時おきに来る電車
 
 山茶花の早や咲き初めし散り初めし
 
 あつけなく冬の日稜線沈めたり
 
 山裾に残る松緑山眠る
 
 鳥の声突き抜く朝や初氷

 聖樹へと人は集まり来たりけり


  白息に朝の光と朝の風



  日差しすで桜落葉に宿りをり
 
  神木の四方に銀杏落葉かな
 
  落葉積む小さき祠の石鳥居
 
  仰向けになりたるままに冬の蜂
 
  通り過ぐ電車の向う有る寒さ
 
冬の雨昼の街灯照らしをり
 
石組の高き旧家や帰り花
 
小春の日子猫につられ大欠伸
 
冬晴やいつもいつもの里の空

  庭先の冬日まるめて猫寝まる
 
一夜明け右から左秋終る
 
じじばばもちょつとちぢんで冬に入る
 
根元より切つてやろうか朴落葉
 
二階より張りなき声や冬薔薇
 
凩や日陰に力増しにけり

↑このページのトップヘ