2016年08月

小さきは小さきままに蜘蛛の糸
振り返る猫と目の合ふ赤のまま
新涼や水の流れに遊ぶ鳥
図書館を出て片陰を片陰を
図書館を飛び出す影や夏帽子    
夕凪に水きり石の波紋かな
畝ひとつ立てて影ある今朝の秋
前髪を少し切りすぎ夏終わる
大西日雫となりて潟に溶け
蜘蛛の囲や小さきものは小さきまま
朝顔に風の重さのありにけり  
踏み込めぬ余地なき土手の葛の花
日傘てふ影の一つを持ち歩く    
百日紅よそみも混ぜて伸びにけり
片陰に影を重ねて入りにけり 

遠花火万の華咲く万華鏡
玄関に靴は七足門火焚く
完膚無きまでも背を指す大西日
遠花火瀬戸大橋を渡りつつ
小さきは小さきままに蜘蛛の糸
蜘蛛の囲や小さきものは小さきまま
踏み込めぬ余地なき土手の葛の花
原色の昭和の余韻水中花
ポンポンと勝手気ままの百日紅
百日紅よそみも混ぜて伸びにけり
コンビニに駆け込む親子大夕立
干潟へと雫となりて大西日
干潟へと夕日映して夏果てる
大西日雫となりて潟に溶け
畝ひとつ立てて影ある今朝の秋
子の声の聞こえぬ里の赤とんぼ
桶さげて墓への道や鬼やんま

花火終へ俄かに風と潮の香と
墓参り母の先行く赤い靴
鉄橋の一両列車遠花火
満天に万の華咲く大花火 
僅かなる風の重さや牽牛花
桐一葉風に軽さのありにけり
桐一葉どこからか来て風かるく  日にかるく
秋近し揺れる木陰を歩き行く
行く路地へ滝なすほどの蝉しぐれ
竹の百幹雨に艶めける
百幹の葉擦れ騒がし竹の春

干し梅の匂ひする路地長屋門

梅干す香向ふ三軒両隣

母の香と古里の香の梅を干す

干し梅の香り満ちけり路地の裏

夏灯アンソロジーの十六号




蛇の衣終着駅の堅き椅子      ・
切りすぎた前髪もろとも夏の海    ・   ・
焼きリンゴ大好きてふ子夏祭   ・
冷奴少し早めの夕餉かな     ・
墓参り庭の桔梗束ねつつ     ・
ぱりぱりと三つに畳む日傘かな  ・
  ・
やや傘を傾げて避ける毛虫かな
万緑や吃水深くゆく巨船
月見草吃水深くある漁船 
夕顔や船足おそく来る漁船  
月見草吃水浅き漁船かな
岬より出づる巨船や月見草
炎天下息つく路地の石畳     ・
赤い靴母にかくれて墓参り    ・
炎天下電信柱に身を細め
電柱に身を細めつつ炎天下   ・ 
切通抜けて一気に夏の海     ・
朝顔のいちりん風の重さかな

桐一葉ベンチの人の赤き爪

緑陰や組みたる足の赤き爪
夏陽ざし海の底まで突き抜けて   ・

雲の峰小箱のやうな無人駅

雲の峰短き駅の一輌車
電柱の影より出づる日傘かな
一歩づつ暑さの中に身を浸す    ・
この碑より旧街道やカンナ咲く
うだるほど暑さの中に身を浸す
スキップをしているつもり夏帽子
あさがおやスキップしてるつもりの子
下駄鼻緒赤い爪して浴衣の子

切通し抜けて平らな夏の海      
炎天下電信柱に身を細め           

稜線をくつきり抱き雲の峰
二人居や西瓜一つを持て余す

二人居に右往左往や大西瓜

桐一葉何処から来るのかぜ軽く      ・・ 
我影は足の大きさ炎天下
ポストまで借りる息子の夏帽子
松原を涼しき風の走る浜
白靴や赤きネイルを秘めてをり
一撃の太刀に長刀鉾動く
図書館を出て片陰を片陰を
日傘てふ影の一つを持ち歩く    。・
前髪を少し切りすぎ夏終わる    ・
図書館を飛び出す影や夏帽子    ・
いつの間に区切りの見えぬ青田かな
片陰に影を重ねて入りにけり   ・
朝顔に風の重さのありにけり  ・
夏帽子小脇にはさみ美術館








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