2012年10月

山辺はどの径ゆけど柿たわわ
穏やかな秋の航路や瀬戸の海
彼岸花瀬戸大橋の向ふにも
百選のひとつの秋の夕日かな
路線バス止めて浦町秋祭
包丁を砥いで仰ぎし昼の月
公園に落葉の山を築きをり
鉄塔の仁王立ちする刈田かな
暮れ残る鴉かかしと影ぼうし

稔り田の中行く列車の短かり
一駅と歩いてみやうか鰯雲
柿の実のたわわとなりて空の青
掃き寄する桜紅葉の日の匂い
赤い糸結びなほして十三夜
山里の柿の彩る廃家かな
鮮やかに立つ鳥のかげ爽やかに
投げ入れて身起こす浮子や秋の海
秋うらら笑顔に笑顔する笑顔
秋うらら笑顔に返す笑顔かな

野の花を手折て私だけのもの
落葉より落葉の音を踏みにけり
稔り田の中ゆく汽車の短かかり
秋の川日ざしに水の匂ひして
裏葉みせ曲がるままの葛の道
眠りゐて月天心にありにけり
肩にまで肩にまで来て赤とんぼ

↑このページのトップヘ